[ロイター東京 7日] -
5月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数がわずか3.8万人増という衝撃的な数字だった。大規模ストライキの直接的影響が4万人弱あったといわれるが、そのことを加味しても、著しく弱い数字である。
非農業部門雇用者数はそもそも変動が激しいことから、5月の数字は公表当初、「Fluke(一時的な振れ)」と見られたが、今ではその見方への懐疑論が出ている。仮に米国の雇用は順調に拡大しているという見方が崩れるとすれば、その影響はあまりに大きい。
次回の6月雇用統計の発表日は7月8日だが、もしもこのときに発表される非農業部門雇用者数も増加数の戻りが弱い場合は、経済シナリオが至るところで崩れることになりかねない。
<小売雇用の勢い鈍化は一大事>
5月雇用統計は、不安の波紋を広げている。まず、移動平均である。米金融当局者は、非農業部門雇用者増加数の振れが大きいので、移動平均で話をする。4月分の同雇用者増加数は、当初16.0万人と発表されたが、今月3日に12.3万人に下方改定された(同時に、その前の3月分も下方改定された)。3カ月移動平均を見ると、すう勢的に低下していることになる。
また、製造業雇用が減っている。国内総生産(GDP)統計で見ると、米国経済は、個人消費はしっかりしているが、設備投資と輸出が弱く、在庫投資もマイナス寄与になっている。企業部門、特に製造業部門が低調であるが、それが雇用にも及んでいるという不安を払拭できない。
小売流通配送の数字もさえない。これまで雇用は着実に増加しており、危機後の家計のバランスシート調整は一巡し、ガソリン代・燃料費の低下は実質的な減税である。
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