2016年9月29日木曜日

[ロンドン 28日 ロイター BREAKINGVIEWS]コラム:OPECの減産合意は時間稼ぎ、調整になお試練

Andy Critchlow

[ロンドン 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] -

石油輸出国機構(OPEC)が2008年以降初の減産に合意した。世界に驚きが広がり、原油価格は急騰した。しかし深く傷ついた石油市場には一時的な癒しにすぎないだろう。OPECは「2歩進んで1歩下がった」状態かもしれない。

OPECの加盟14カ国はこれから各国ごとの減産分、つまり「痛みをどう割り当てるか」を決めなければならない。この詰めの作業は重要で、もし対応を誤れば原油価格の持続的な回復は不可能になる。過去にも減産割り当ての段階で生産上限の合意が破談になっている。

OPECには少なくとも一息つく余地は生まれた。生産量を日量3250万バレルにするためには全体で70万バレルの減産が不可欠で、11月末の次回総会までに各国ごとの割り当て計画をまとめる見通しだ。

そのためには犬猿の仲のサウジアラビアとイランが剣を鞘に収めなければならない。イランの生産量は経済制裁が解除された1月以降19%増えたが、まだ同国が求める制裁解除前の水準に戻っていない。

一方のサウジは米国のシェールオイル業者やロシアに奪われたシェアを取り戻そうと、過去最高に近い水準で原油を生産してきた。サウジとイランの妥協は欠かせないだろう。

今後2カ月間にOPEC内部で事が丸く収まったとしても、減産合意はライバルである非加盟国の増長を許すだけで、石油は価格上昇によって脆弱な需要が鈍ってしまう恐れがある。OPECが予想する2017年の世界の石油消費拡大は日量120万バレル程度と、今年とほぼ同じ。また米国など非加盟産油国の生産量はアナリストの予想よりも立ち直りが速い。

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