2017年2月28日火曜日

[ニューヨーク 27日 ロイター BREAKINGVIEWS]コラム:米国防費増強の「大風呂敷」がもたらす代償

Antony Currie

[ニューヨーク 27日 ロイター BREAKINGVIEWS] -

トランプ米大統領は、国防費540億ドル増額という「大風呂敷」を広げ、米国の予算が抱える欠陥を覆い隠そうとしている。感情的愛国主義が主導する、トランプ氏が「米国史上有数の規模の国防力強化」と呼ぶこうした取り組みは、さまざまな形でより高い代償をもたらすかもしれない。

国防費の増額は大半が、他の政府機関が使うべき予算を削って充当される。ロイターの計算では、国務省は外交活動や対外援助などに振り向ける年間予算が30%減って500億ドルになりかねない方向で話が進んでいる。環境保護局(EPA)の80億ドルの予算も、恰好の削減対象と化した。

これらの政府機関からの資源流用は、トランプ氏の熱心な支持者を喜ばせるはずだ。予算案承認権限を有する議会でも一部の議員は国防費増額の説得に応じてもおかしくない。対外関係の予算を財源にする考えには反対論が出るだろう。だが議員にとって国防費を前年度から9.2%も増せば、選挙区の州や地域に新たな雇用が生まれ、有権者の支持が高まる可能性があることは喜ばしい事態と言える。


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