2016年7月13日水曜日

[ロイター東京 13日]コラム:バーナンキ氏が説く黒田日銀の選択肢=木野内栄治氏

[ロイター東京 13日] -

バーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長の来日が一部で話題となっている。バーナンキ氏は2003年5月にも来日し、「日本の金融政策に関する見解」(日本金融学会)と題する講演を行った。当時、すでにFRB理事の立場にあった同氏が他国の金融政策に対して見解を述べることは、金融政策における内政干渉のようなインパクトがあった。

その講演では、物価目標の導入や銀行資本の充実、日銀のバランスシートを利用した政策などが提案された。そしてご存じの通り、結果的には日銀や日本の銀行は事実上バーナンキ氏の提案を実際に採用することになった(物価目標に関する当時の提案は水準目標だった)。

今回の来日中に、この碩学は日本の金融・財政政策に対してどういった処方箋を示すのだろうか。

<「ヘリマネ」提案の可能性>

2003年の講演では、日銀による信用創造によってファイナンスされた財政支出政策も提案されている。いわゆるヘリコプターマネーだ。

中央銀行が財政支出をファイナンスするなら、将来の借金返済不安がない。よって、人々が不安に感じて貯蓄性向を高めてしまうなどのリカード=バローの等価定理を心配する必要はない。

また、財政政策は資源の最適な配分を歪めるので、潜在成長率を引き下げてしまうなどの広義の非ケインズ効果も心配される。しかし、そもそも現状では経済資源を有効には使っておらず、財政政策は産業のリストラを容易にするための支援プログラムにも使えるなどの反論を試みている。

0 件のコメント:

コメントを投稿