2016年7月3日日曜日

[ロンドン 29日 ロイター BREAKINGVIEWS]コラム:英国のEU残留派、「敗者」にあらず

Edward Hadas

[ロンドン 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] -

欧州連合(EU)離脱を決めた国民投票から週が明けた27日、英国の代表的政治家の多くは、1日の大半を、国民の意志を受け入れることについて互いを称え合って過ごした。

保守・労働両党の国会議員は、自らの責任放棄について奇妙な誇りを抱いていたのである。勝者の側は寛大さを示し、敗者の側はもっぱら「国民の意志」と称するものを尊重することを約束していた。しかし外から見る者にとっては、こうした政治的な態度は無謀かつ奇妙で、不必要なものである。

無謀というのは、英国が経済的・政治的にとてつもなく大きな課題に直面しているからだ。EU離脱はギャンブルである。わずかな経済的利益を得られる可能性に対し、見込まれる損失は大きい。信頼を失い孤立した国として、最大の貿易相手との絆は弱まりつつある。

だが、残留派のなかにも、英国は離脱後もEUと良好な通商関係を築けるのではないかという離脱派の幻想に引きこまれてしまった人は多い。英株価指標FTSE100種.FTSEが29日、6300を超え、国民投票前日の水準を回復したことは、こうした生温い夢想を反映している。

状況を考えれば、国民投票の結果がほぼ無条件に受け入れられていることも奇妙な話である。なぜこの道しかないのか。ただでさえ怒りに満ちている双方の陣営の有権者を、なぜさらに離反させるのか。残留派はすでに激怒しており、離脱派の有権者は悪いニュースを覚悟している。経済的な打撃に加えて自分たちの期待が裏切られたことで、彼らは、グローバリゼーション以前の世界という幻想に浸っている。

こうした奇妙な振る舞いを最もうまく説明するのは、キャメロン英首相の言う「民主主義の尊重」ではない。もう一つの英国の伝統、「ゲーム」だ。われわれが勝ち、君たちが負けた。顔を上げろ、一人前の大人として受け止めろ。握手して、さあ、前に進もう。

だが、このアプローチは何から何まで間違っている。離脱か残留かという判断はスポーツの試合ではない。勝者も敗者も、明確なルールもレフリーも、そして来シーズンの再戦もありはしない。この問題は複雑である。情報に基づいて理性的な判断を下せる人間のみが答えを出すべきなのである。立法府よりも国民が優位に立つ機会を与えることは、代議制民主主義の原理に対する侮辱である。

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