2016年3月22日火曜日

[香港 21日 ロイター BREAKINGVIEWS]コラム:膨らみ続ける中国の債務、抑制策は先送り

By Peter Thal Larsen

[香港 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の債務負担は増加の一途をたどることになるだろう。昨年の債務総額は国内総生産(GDP)の約250%に達し、与信の膨張に歯止めが掛からないことへの懸念が強まっている。だが非現実的な経済成長目標を達成するよう求める圧力により、債務を抑えるための持続的な取り組みは先送りされてしまうだろう。

政府の新たな5カ年計画では、直面するジレンマが鮮明になっている。李克強首相は、2020年までの年平均実質成長率目標を6.5%以上にすると表明した。広義の民間セクター融資を示す「社会融資総量」は2016年に13%増える見通しだ。このため、仮にインフレが楽観的な目標である3%になったとしても、債務の伸びは名目GDPを上回ることになる。こうした傾向が続けば、債務総額は2020年までにGDPの約290%に達する見込みだ。

中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は企業債務の増加に懸念を示しているが、政府が融資を抑える兆候はほとんど見当たらない。銀行が今年1─2月に新規融資として貸し出した金額は3兆5000億元(5億4000万ドル)で前年同期比3割強の増加となった。中国企業は、国内で借り入れた資金を外国での企業合併・買収(M&A)に充当している。トムソンワンによると、中国企業による外国でのM&Aの総額は今年、1000億ドル近くに達している。株式市場がもっと健全であれば、企業はより多くの株式を発行して債務負担を軽減できるのだが、昨年のバブル崩壊により投資家は慎重な姿勢を強めている。

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